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ハヤブサ
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「目指せ!擬似餌マスター」第4回
和製ルアー「餌木」雑感
釣果アップには役立たないかもしれない?エギング未満のころ

「目指せ!擬似餌マスター」

かつて鹿児島で取材した餌木製作の知識を生かし、その後数年間、餌木を自作していた経験がある。
樹脂の型に布を巻き、ハリ、オモリなどを取り付けるだけではあったが、関西の釣具店に餌木などほとんど並んでいなかった時代で、そのカラフルな出来映えには大いに満足したものだった。しかし、いつしか時代は進み餌木釣りはエギングへと進化し……。今回は当時、鹿児島で聞いて学んだ記憶を中心に「餌木釣り」時代をたどってみたい。エギングの幅を広げるヒントになれば幸いだ。


餌木のルーツ?

鹿児島県は薩摩半島の南端、開聞岳がそびえる旧山川町(現・指宿市)が漁具としての餌木発祥の地とされる一方で、そもそも餌木は奄美大島で発祥し、江戸中期から末期にトカラ列島、種子島を経由して薩摩に伝わったと推測される……という説もある。いずれにしても、どういった経路をたどったかは別にして、奄美地方を含む薩南、鹿児島エリアで発達したアオリイカを釣る漁具としての餌木が全国に広まったのは紛れもない事実だろう。

餌木を自作していたころのパーツと工具

当時自作していた餌木

餌木を自作していたころのパーツと工具が少しだけ残っていた。樹脂の型に布を二重に巻いてオモリ、ハリ、羽根、目玉を取り付けるだけの組み立て作業だが、上布と下布の組み合わせを考えるのが楽しかったのだ

当時自作していた餌木。サイズは3.5寸、傘バリは1段。真鍮の釘で留める目玉は飛び出して、ライン接続部分は結びコブがあるだけの口ヒモだ

焼けこげた木片

30年近く前、山川で餌木を製作していた釣具店店主から聞いた話では「その昔、波打ち際に漂う焼けこげて木目がくっきり浮き出た木片に、ミズイカ(アオリイカ)が抱き付く姿を見た人が思いついた……」というのが餌木の起源だという。また一説には「夜間、船上で作業をしていた漁師が松明を海に落とし、それにミズイカが……」というのもある。とにかくアオリイカがエサの魚やエビではなく、単なる木片にも場合によってはエサと間違えて興味を示すことを発見したのだ。こうして漁具としての擬似餌、和製ルアーともいえる餌木が誕生したのである。

白木から塗装、そして布巻きへ

これらの話に共通するのは焼けこげた木片にくっきり浮き上がった木目の存在。これをアオリイカが好物の魚やエビの模様と認識したのだろう。したがって鹿児島に残る初期の餌木には焼き加工が施され、木目をくっきり浮き上がらせているものが多い。一方で木片を魚型やエビ型に削って完成された餌木の形状そのものもアピール力を持つためか、あえて木目を強調せず白木のままの餌木も時代は前後するが存在するのだ。その後、餌木は本体に塗装を施したもの、そして現在の布を巻いたものに発展したのだろう。

カラフルで美しい現在の餌木

カラフルで美しい現在の餌木。下布はテープに代わったが上布を透かして見える反射でアピールする点は、昔と変わりない

下布の妙と背中の緑
餌木用の布

山川の釣具店で購入した餌木用の布。カラフルに反射するギラギラの下布と、下布の輝きを殺さない薄くてシックな上布を組み合わせる

現在主流の布巻き餌木は、下布と上布の2重巻きになっていることがほとんど。ただ上布から透けて見える下布は現在、金テープ、赤テープと呼ばれる布以外のもので代用される。とにかく餌木を見る角度によってボディーの反射が変化するのがミソなのである。
これも以前に山川の釣具店で聞いた話なのだが、鹿児島には餌木の布を専門に商う人がいて、餌木の布で得たローカルな収入だけで家が建ったというから驚いた。上布は薄く下地が透けるものが定番。古くはスカーフの布などが好まれたようだが、色には決まりはなかった。ただ鹿児島では「背中は緑」という不文律あったそうで、山川の釣具店で作られていた餌木の背中にはペイントで緑の太い筋を1本通し、その両脇からは細く鋭い緑の縞目を出したものがほとんどだったと記憶している。


曳かなければ沈まない

漁法としての餌木での釣りは、そもそも船で曳く(引く)スタイルである。
漁具としての餌木は海面に落とすと前部下方に取り付けられたオモリにより尾部を上に頭を沈めた前傾姿勢で、ぎりぎり浮いている状態を保つのだそう。この状態でゆっくり曳けば餌木の背部に水圧を受け海中に潜り、曳くのをやめればユラユラと浮き上がる。現在の釣具としての餌木とはまったく逆の発想なのだ。
現在のエギングでも藻場などの超シャローを攻略する際、引けば沈み止めれば浮上する餌木があれば強力な武器になるかもしれない。

ダートの意味するところ

現在の餌木は沈下速度の差こそあれ、すべては海底に沈むタイプである。餌木を引く、もしくはしゃくることで浮き上がらせては沈めるのだ。
餌木のアクションとして一般的になったダートも、沈む餌木を浮き上がらせる一手法にすぎない。最大のメリットは真っ直ぐ手前へ浮かせて沈ませるよりも、左右ジグザグに浮かせて沈ませる方が回収までに時間がかかり、それだけ海中でアオリカイカにアピールできる時間を長くとれるという点である。左右にダートするからアオリイカが興味を示す……というのはウソだという人もいるし、仮にそうだとしても二次的な効果のような気がしてならない。

餌木はしゃくらなければ浮き上がらない、浮き上がらせなければ沈まない。根掛かりさせないように、この動作を繰り返すのがエギングの基本

置き竿エギング?

アオリイカが釣れにくくなった現在では夢のような話だが、以前ならナイトゲームで海底に餌木をステイさせておくだけで釣れることがあった。
着底した餌木がお尻を浮かせてユラユラ……。それにアオリイカが抱き付くのである。置き竿スタイルのエギング、根掛かりには気を付けて……。ウソのような本当の話である。


磯竿とナイロンの時代

かつて山川で餌木製作の手法を取材した当時、現在のようなエギング専用ロッドなどはなく、陸っぱりで使用するのは3~4.5mの磯竿1.5~2号だった。ラインは当然ナイロンだ。「シーバスロッドがよいのでは?」という意見がちらほら提案されだした程度の時代だった。
ある日、鹿児島県串木野から渡船で甑島の磯に出てグレ釣りの合間に餌木を投げ、人生初“エギング”で300gほどのアオリイカを釣った。案内していただいた鹿児島市在住の師は、それこそ連発入れ乗り! 最大2kg近い大型を釣り上げて、鹿児島の離島パワーを目の当たりにしたのであった。

草垣群島とヒラマサ竿

ところが師匠曰く「草垣群島に行けば、こんなもんじゃない」という。草垣群島とは枕崎市の南西沖約90km、東シナ海に浮かぶ無人島群で、古くから大型の尾長グレが釣れると磯釣りファンの間では有名な釣り場だ。そんな草垣群島で釣れるアオリイカも特大。大きいものは4kgをオーバーするという。タックルもとんでもない。何と磯用ヒラマサ竿を使うというのだ。
当時、ヒラマサ竿といえばイシダイ竿に次ぐ剛竿。そのヒラマサ竿が根元からひん曲がるというから、何と凄まじい餌木釣りがあるものだとビックリしたものだ。いま思えば草垣群島で釣れる大型アオリイカは、いわゆる赤イカ系、レッドモンスターだったに違いない。

沖永良部島の6寸

山川で餌木製作を学んでから数年後、奄美大島よりさらに南の沖永良部島を取材で訪れたとき、ふらりと立ち寄った釣具店に無造作に並んでいた餌木の大きさにビックリした。それまで自作していた餌木は、すべて3.5寸。いまでいう3.5号だったが、そこにあった餌木は5.5~6寸。ボディーが20cm近い大きさだ。布巻きのダブルカンナで漁師さんが船から曳くタイプではないように見える。
現地の人がどういう使い方をするのかは聞きそびれたが、もし陸っぱりで、こんなジャンボ餌木を投げるなら「やはりヒラマサ竿でないと……」と草垣群島の話が脳裏をかすめたのであった。

二種類の餌木

上が沖永良部島で購入した6寸の布巻き餌木。背中は鹿児島では定番のグリーン、傘バリは2段になっている。
下は山川型の自作餌木3.5寸。大型の餌木には大型のアオリイカが……


簡単に釣れない時代へ

アオリイカゲット

山川で学んで自作した餌木を初めて南紀の地磯に持ち込み第一投。そして何と1シャクリ目にドンッとキロクラスのアオリイカが乗ってしまったのには我ながら山川餌木の威力に驚いたし、翌日は中紀・由良でキスをねらう伝馬船を流しながら餌木をしゃくっていると500~600gが2ハイもゲットできてしまった。
それから10年もしないうちにショップにはカラフルかつ、さまざまなタイプの餌木がズラリと並ぶようになり、専用ロッドも登場、PEラインの普及と餌木釣りはエギングへと進化、現在に至る。一方でエギング人口の増加にともないアオリイカが簡単に釣れなくなったといわれて久しい……。よく釣れた時代の思い出話は、何の役にも立たないかもしれないが、エギングを楽しむうえでの何かのヒントになれば幸いだ。

かつてのように簡単にアオリイカが釣れなくなった現在。釣果云々よりも、どう釣るかプロセスを大切にするのが、今後エギングを楽しむ上で、いっそう大切になるのかもしれない